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警備員の配置基準とは?法的な基準と安全確保のポイント

警備員の配置基準には、法律で義務付けられた「法的基準」と安全確保のための「推奨基準」があります。いずれも現場のリスクや規模に応じて適切に守ることが求められます。

本記事では、法律で定められた配置基準の種類とイベント会場・工事現場・商業施設など現場ごとの推奨配置を具体例とともに解説します。警備員配置の費用相場や適切な配置を提案できる警備会社の選び方も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

警備員の配置基準には「法的基準」と「推奨基準」がある

道路工事現場で交通誘導を行う警備員の写真。警備員配置基準の具体例を示すイメージ

警備員の配置基準は、法的基準と推奨基準に分けられます。法的基準は警備業法の関連規則で定められた最低限守るべき配置ルールです。特定業務では、有資格者を所定人数以上配置することが法律で義務付けられています。

推奨基準は法律上の義務ではないものの、現場の安全を確保するために業界で推奨される警備員の配置目安です。例えばイベントの規模や工事現場の状況に応じて「最低○人は配置した方が良い」といった基準が設けられ、事故防止や円滑な運営のために活用されます。

法的基準は最低限の義務、推奨基準は実際に安全を守るための指標と考えると分かりやすいでしょう。

法律で定められた警備員配置基準の主な種類

警備業法および国家公安委員会規則では、特定の警備業務について有資格者の配置が義務付けられています。以下は、代表的な業務とその基準です。

警備業務     配置基準(有資格者)主な適用場面
交通誘導警備・高速道路・自動車専用道路:交通誘導警備業務1級または2級合格者を現場ごとに1名以上配置・公安委員会が危険防止上必要と認めた現場も同様高速道路工事車線規制危険区間工事
雑踏警備・会場ごとに雑踏警備業務2級以上を1名以上配置・会場を複数の区域に分ける場合:各区域に1級または2級を1名以上、全体統括に1級を1名以上配置コンサート祭りスポーツ大会
貴重品運搬警備・輸送車両ごとに貴重品運搬警備業務1級または2級を1名以上同乗。現金輸送ATM補填
空港保安警備・空港保安警備業務を行う場所ごとに、空港保安警備業務1級を1名配置・X線透視装置が設置される場所ごとに1級または2級を1名以上配置空港の保安検査場搭乗ゲート
施設警備・防護対象特定核燃料物質を扱う施設:敷地ごとに施設警備業務1級を1名以上、施設ごとに1級または2級を1名以上配置防護対象特定核燃料物質を扱う施設(核原料物質、核燃料物質、原子炉関連など)

参考:検定合格警備員の配置基準|警視庁

配置基準を守らずに警備業務を行えば、警備会社は公安委員会から業務停止などの行政処分を受ける恐れがあります。法的基準は必ず遵守しつつ、後述する推奨基準も踏まえて安全な警備計画を策定しましょう。

【場所別ガイド】警備員配置の推奨目安とポイント

警備員が上司の指導を受けて整列する様子。配置基準に関連したイメージ

ここでは、法律で義務付けられてはいないものの推奨される警備員の配置基準について、現場ごとの人数の目安や配置箇所、状況に応じた警備員数の調整ポイントを紹介します。

  • 工事現場(交通誘導警備)
  • イベント会場(雑踏警備)
  • 商業施設・駐車場(施設警備)

工事現場(交通誘導警備)

人数の目安

  • 道路上の工事:1名以上を配置(工事内容によって2~5名程度必要なケースも)
  • 片側一車線を規制する工事:道路両端に1名ずつ、計2名
  • 交差点付近の工事:車両や歩行者の流れに合わせ、各方向ごとに配置

道路工事では交通の安全と円滑な流れを確保するため、2~5名を配置するのが一般的です。交差点や歩行者が多い場所では、進行方向ごとに警備員を置くことで事故防止と混雑緩和につながります。

主な配置箇所

  • 出入口・資材搬出入ゲート:無断侵入の防止と車両誘導を担当
  • 交通量の多い道路沿い:規制区間の手前で注意喚起と徐行を指示
  • 夜間工事や見通しの悪いカーブ:手前に配置し、ライトや旗で注意を促す

現場の特性や危険度を踏まえ、事故が起きやすい場所を優先的にカバーしましょう。要所ごとに警備員を配置することで、交通誘導の安全性を高められます。

状況に応じた警備員数の調整ポイント

工事現場における警備員配置の一般的な目安は、100平方メートルにつき1名です。例えば敷地が1,000平方メートル規模の工事なら、単純計算で約10名が基本です。危険度が高い現場ではさらに人員を厚く配置することが推奨されます。

精度が高い配置計画を立てるには、交通量や現場条件を調査し、結果を基に最適な警備員数を算出することが重要です。

関連記事:工事現場における警備員の重要性とは?依頼時の費用相場や導入事例を紹介
関連記事:工事現場で警備員の配置は義務なの?道路上の工事とそれ以外の工事の場合を詳しく解説

イベント会場(雑踏警備)

配置人数の目安

  • 小規模(50~100人規模の講演会):警備員1~2名で入口対応と巡回を兼務
  • 中規模(500~1,000人規模の展示会):5~8名程度が標準的
  • 大規模(5,000人以上の音楽フェスなど):50名以上を動員するケースもある

法律上は最低1名の有資格者配置が義務ですが、実務では参加者数やリスクに比例して複数名を確保するのが一般的です。

主な配置箇所

  • 主な出入口(入退場ゲート):チケット確認や手荷物検査の補助
  • 会場内の重点箇所:ステージ前、要人控室周辺など人が集中する場所
  • 大規模イベント:会場を複数エリアに区分し、それぞれに巡回警備を配置
  • 外周・駐車場:車両誘導や歩行者の安全確保を担当

イベント警備では来場者の動線を意識し、ゲートやステージ前、各ブロックなどトラブルの発生リスクが高い場所に重点配置しましょう。

状況に応じた警備員数の調整ポイント

イベント警備では、時間帯によって混雑の度合いが変動するため、警備員数を柔軟に変更しましょう。

開場直後や終了間際など混雑がピークとなる時間帯には人員を厚く配置し、逆に公演中など落ち着いた時間は一部を待機要員に回すことで効率的な運営が可能です。また、動線の変更や物販列の伸長時には臨時配置を行い、滞留を防ぎましょう。

関連記事:雑踏警備の役割とは?依頼するメリットや警備会社選びのポイントを紹介

商業施設・駐車場(施設警備)

配置人数の目安

  • 駐車場:出入口対応と巡回を両立するため、最低2名以上の配置が基本
  • 商業施設:日中は受付・館内巡回・駐車場管理を含め5名程度、夜間は館内1名+外周1名の計2名体制に減らすケースも多い
  • 24時間体制の現場:交代勤務を考慮し、余裕を持った人数計画が必要

法律上、明確な人数基準は定められていませんが、実務では施設規模や利用者数に応じて調整するのが一般的です。

主な配置箇所

  • 出入口・受付:来館者への目配りや不審者対応、入館証確認や案内業務を兼務
  • 館内巡回:火気・設備の異常点検、不審者チェック、非常口確認や迷子対応
  • 駐車場:出入口ゲートでの車両誘導、不審車両の確認、巡回で事故や車上荒らしを抑止
  • 監視室:必要に応じ、防犯カメラを常時監視し異常に即時対応

商業施設警備では出入口と館内の巡回を基本に、駐車場や外周まで含めた配置を考えましょう。広大な施設では、複数名が同時に巡回できる体制を整えることで、安全性が高まります。

状況に応じた警備員数の調整ポイント

商業施設や駐車場では、時間帯や混雑状況に応じて必要な警備員数を調整するのがポイントです。開店直後やセール時は入口付近に増員し、混雑整理やトラブル防止を強化します。夜間は人の流れが落ち着くため、防犯・防災に重点を置いた最小限の体制に切り替えるのが一般的です。

さらに、防犯カメラの死角や万引きの多いエリア、駐車場の入出庫ログを分析することで、リスクの高い時間帯や場所を特定し、その箇所へ重点的に配置する方法が有効です。

関連記事:駐車場警備員ってどんな仕事なの?

警備員の配置にかかる費用相場

電卓と疑問符のイラスト。警備員配置にかかる費用相場やコストの不明点を示すイメージ

警備員を配置する際の費用相場は、平日昼間8時間なら1人あたり約12,000~15,000円程度です。夜間は通常の1.3倍程度で、土日祝日はさらに割増料金が適用されます。また、警備内容などに応じて費用は増減します。

複数の警備会社から見積もりを取り、比較検討することが重要です。警備員の配置にかかる費用相場について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:警備料金の相場を詳しく解説、費用を抑えるコツとは?

適切な警備員の配置を依頼できる警備会社の選び方

警備員の制服用キャップと誘導灯、装備品

安全な警備計画には、適切な配置を提案できる信頼できる警備会社の選定が欠かせません。

警備会社は実績や警備員の教育体制、柔軟な対応力を基準に選び、複数社の見積もりを比較して最適なパートナーを見つけましょう。

警備ドットコムのようなマッチングサービスを活用すれば、複数社から無料で見積もりを取得でき、効率的に比較検討できます。

警備会社の選び方を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:契約前に必読!警備会社の賢い選び方を解説

まとめ

警備員の配置は、法的基準を遵守しつつ、現場の状況に応じて推奨基準も参考にしながら柔軟に計画しましょう。さまざまなリスクを想定した運用計画を立てることで、安全性を強化できます。

これらの基準を現場に適用する段階では、依頼先の提案内容で成果に差が出ます。そのため、見積もりの際には「適切な配置基準を根拠とともに提案できるか」を確認することが大切です。根拠のない人数設定ではなく、現場特性に基づいて具体的に算出できる会社こそ、信頼できるパートナーと言えるでしょう。

「警備ドットコム」では、全国の警備会社の中から自社の課題や条件に合った会社を紹介しています。最短で即日対応も可能なため、ぜひご活用ください。

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