コラム
交通整理と交通誘導の具体的な違いについて
路上などで見かける交通整理や交通誘導は車両や人を特定の方向へ移動させる目的は一緒ですが、具体的な内容には大きな違いがあります。
一見するとどちらも同じように見えるため間違えやすいですが、誤った認識で携わると重大なトラブルに発展することもあるので注意しなければいけません。ここでは交通整理と交通誘導の違いについてお伝えします。
目次
交通整理と交通誘導の違いは強制力の有無
交通整理と交通誘導の違いは強制力の有無です。警察官が行う交通整理は法的な強制力があり、その指示に従わなければ信号や標識を無視したのと同じ扱いを受けます。交通誘導は任意のお願いなので、従わなくても法律上は何の問題もありません。
しかし、安全で円滑な走行を促すことを目的としているので、事故などのトラブルを避けるには交通誘導に従うのが無難です。交通誘導は警備員が行う仕事というイメージがあり、実際にその通りでもありますが、実際は誰でも交通誘導を行うことは可能です。
交通整理は警察官が行う強制力を持つ指示、交通誘導は誰でもできる強制力を持たないお願いと区別されています。
警察官がおこなう交通整理の特徴
信号機の強制力を否定できるのが特徴
交通整理は警察官が行う車両や人の誘導行為です。停電で信号機が動かない、事故などで道路が塞がれ行き来するのが危険な状態になっているなどの場合に交通整理が行われます。警察官による交通整理と信号機の指示が異なる場合、交通整理の方に従わなければいけません。
また、交通整理の権限を持つ職業は警察官以外では交通巡視員に限られています。交通巡視員は警察職員の一種であり、警察官と共に信号機とは異なる指示の交通整理を行うことが可能です。
法律を根拠にした強制力のある行為
交通整理の最大の特徴は強制力があることですが、これは道路交通法を根拠にしています。警察官による交通規制は公権力の命令であり、車両や人はその指示に従わなければいけません。
警察官の交通整理を無視した走行は信号や標識の指示を無視するのと同じであり、罰金などの刑罰が下されることがあります。また、警察官や交通巡視員以外の人が交通整理を行うことはできません。
警備員がおこなう交通誘導の特徴
工事などの理由で走行が困難になった際に行われる
交通誘導は道路工事などで車両や人の円滑な走行が困難になっている場所で行われます。2車線以上の道路で行われる片側交互通行がもっとも広く知られている交通誘導です。
また、混雑する駐車場での誘導行為や工事現場から車両が出入りする場所で歩行者に回り道を促すなど、交通誘導の仕事内容は多岐にわたります。車両や人の安全を確保し、円滑な走行を促すのに不可欠な仕事と言えるでしょう。
法的拘束力はないが基本的には従うのが無難
交通誘導と交通整理には強制力の有無という違いがあります。交通誘導は民間企業である警備員が行う指示なので法的な強制力はありません。警察官の交通整理は道路交通法に基づく強制力があるので指示に従う義務がありますが、交通誘導はあくまでも円滑な走行を保つためのお願いなので強制力はありません。
そのため、交通誘導を無視しても違法ではありませんが、そのことによって事故を起こしてしまうおそれもあります。危険を予測できる状況で交通誘導を無視するのは悪質な行為と見做される可能性があることから、法的な強制力がなくても交通誘導に従うのが無難と言えるでしょう。
交通誘導に関するトラブルについて
交通誘導は車両や人の円滑な走行を促すのが目的ですが、安全管理を疎かにしてはいけません。交通誘導に従って走行したため、事故を起こしてしまったケースは少なからず存在します。
このような場合、状況によっては誘導を行った人が事故の責任を問われることもあるので注意しなければいけません。交通誘導は任意のお願いなので強制力はありませんが、車両や人の認識を誤らせる可能性もあることから安全管理を徹底して行う必要があります。
交通誘導を行うための資格や条件について
交通誘導は法的な強制力を持たないことから、基本的には年齢や性別を問わず誰でも行うことができます。
小売店の店員が駐車場で車両の移動を促すなど警備員以外の人が交通誘導を行うケースもありますが、道路上の交通誘導などは原則として交通誘導警備業務検定の有資格者が行っています。複数人で従事する場合は一人の有資格者が他の警備員を指導する形になっているので、未経験者でも交通誘導を行うことは可能です。
また、交通誘導では無暗に車両や人の走行を妨げないことも重要です。安全を確保するためであっても強制的に走行を中止させることはできないので、周囲の状況を正しく認識して交通誘導に携わることを心がけます。
目的は似ているが強制力に違いがある
交通整理と交通誘導はどちらも車両や人の安全を確保する目的で行われますが、交通整理は法的な強制力があります。そのため、信号機の故障や交通事故な大きなトラブルが生じた際に行われるのが普通です。交通誘導は強制力を持たない任意のお願いですが、工事現場や駐車場など混雑しやすい場所での円滑な走行を促す目的で頻繁に行われています。