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【警備業法を解説】警備員になれない8つの条件とは?欠格事由をわかりやすく説明します

今までの経験や自分の特性などを活かして警備員の仕事をしたいと思っている方もいるのではないでしょうか。その時に、自分が警備員になれるかどうか気になることもあるでしょう。

本記事では、警備員になれない主な欠格事由と、誤解されやすいポイント、そして状況によっては警備員として働けるケースについて解説します。また、警備員に向いている人の特徴やよくある質問(Q&A)も紹介していますので、これから警備業を目指す方はぜひ参考にしてください。

警備員になれない欠格事由とは

警備員になれない欠格事由とは

警備員という仕事は誰でも無条件でなれるものではありません。警備員になるには、警備業法で定められた要件を満たす必要があり、これに該当しない事由を「欠格事由」と呼びます。

ここでは警備の欠格事由を見ていきましょう。警備員の仕事をしたいと思っている場合は、これらの欠格事由に当てはまるかどうかをしっかり確認することが大切です。

警備の欠格事由

  • 18歳未満の人
  • 暴力団と繋がりがある人
  • アルコール・薬物中毒の人
  • 自己破産の手続きをして復権を得ない人
  • 犯罪などを犯すおそれがあると認めるに足る相当な理由がある人
  • 心身の障害を持っていて正常に警備業務ができないと判断された人
  • 犯罪を犯し禁錮刑になってから5年経過していない人
  • 5年以内に警備業法に違反した人

特に注意すべき欠格事由を詳しく解説

一見すると「警備員になれないのでは」と思われがちなケースでも、実際には状況により就業できる場合があります。ここでは、誤解されやすく注意が必要な欠格事由について解説します。

  • 自己破産をすると警備員になれない?
  • 罰金刑や執行猶予の経験がある場合は?
  • 心身の障害や精神疾患があるとどうなる?

自己破産をすると警備員になれない?

自己破産の経験があっても、「復権」していれば警備員として働けます。

警備業法第14条および同法第3条第1号では、欠格事由の一つに「破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者」と定められています。つまり、破産手続きの途中で権利がまだ回復していない場合にのみ、警備員として働けないという制限がかかるのです。

重要なのは「今、破産手続き中かどうか」です。すでに裁判所から免責許可が下りて手続きが終わっていれば、復権している状態となり、問題なく警備員として就業できます。

罰金刑や執行猶予の経験がある場合は?

過去に刑罰を受けた経験があっても、一定期間が経過すれば警備員として働ける可能性があります。

警備業法の第3条第2号では、拘禁刑以上の刑を受けた人や警備業法違反による罰金刑を受けた人は一定期間、警備員になれないと定めています。なお、信号無視や一時停止違反、駐車違反などの軽い反則金は、欠格事由には該当しません。

ただし、制限は永久的なものではなく、刑の執行を終えてから5年が経過するか、執行猶予期間が満了すれば解除されます。過去の刑罰であっても、時間の経過により再スタートは十分可能です。

参考:警備業法 | e-Gov 法令検索

心身の障害や精神疾患があるとどうなる?

心身の障害や精神疾患があっても、業務に支障がなければ警備員として働けます。警備業法では、「心身の障害や疾患により警備業務を適正に行えない場合」は欠格事由とされています。

しかし、通院歴や過去の治療歴があるだけで自動的に不適格と判断されるわけではありません。重視されるポイントは、今の健康状態が業務遂行に支障をきたすかどうかです。

採用時に健康状態に関する医師の診断書の提出を求められることがありますが「警備業務に支障がない」と証明できれば、採用されるケースがほとんどです。心身の障害や精神疾患があっても、現在の状態が安定していれば問題ありません。

状況・判断によっては警備員になれる人

状況・判断によっては警備員になれる人

警備員になれない人として欠格事由をいくつかご紹介してきましたが、その中でも状況や判断によっては警備員として働くことができる場合もあります。

欠格事由に当てはまってしまって諦めるしかないのかと落ち込んでいる方はチェックしてみてください。

精神疾患を持っている人

警備員という仕事柄、自分でその場の状況を判断し行動したり、任された現場を守ったりすることが求められます。

精神疾患を持っている人だとそれらの判断がうまくできない場合があるため、欠格事由として精神疾患を持っている人という項目が挙げられているのです。

しかし、精神疾患がある場合でも、医師から「警備員の仕事に支障がない」と診断してもらうことができれば警備員を目指すこともできます。それでも警備会社によっては精神疾患があることにより不採用という結果を出すこともあるので注意しましょう。

てんかんを持っている人

持病としててんかんを持っている人もいるのではないでしょうか。てんかんの症状が現れると痙攣を起こしてしまったり、いきなり意識が朦朧としてしまったりすることがあるため、警備員としての業務に支障をきたすと判断されてしまうかもしれません。

しかし、てんかんを持っている人も医師から「警備の仕事に支障がない」と診断書を出してもらうことができれば、警備員になることも可能です。この場合もやはり警備会社によっては受け入れてもらえないこともあるので理解しておきましょう。

執行猶予中の人

過去に犯罪を犯して禁固刑を受けていた場合、出所してから5年は警備員になることができません。そうなると、執行猶予を受けた期間であれば大丈夫なのかと考える方もいるでしょう。

しかし、執行猶予中で実際に刑務所で服役していなかったとしても、その期間は警備員として働くことはできません。執行猶予の期間が終わってからは警備員の仕事を目指せるようになるので、また時期を見てチャレンジしてみるのもいいのではないでしょうか。

こんな人も警備員になれる!欠格事由に含まれない人

こんな人も警備員になれる!欠格事由に含まれない人

自分が警備員の欠格事由に当てはまって働けないのではないかと不安に感じている方もいるかもしれません。しかし、警備員の欠格事由に当てはまらない項目もあります。

せっかくのチャンスを無駄にしないためにも、しっかりと知識を身につけておくことが大切です。ここでは、欠格事由に含まれない人をご紹介していきます。

成年被後見人、被保佐人

成年被後見人や被保佐人としてサポートを受けているという方もいるでしょう。それにより警備員になれないのではないかと不安に感じるかもしれません。

しかし、以前は警備員の欠格事由として成年被後見人と被保佐人が含まれていましたが、現在は法改正によってその項目がなくなりました。そのため、成年被後見人や被保佐人だとしても警備員として働くことが可能です。

外国人

外国人だと日本の警備会社で警備員として働くことが難しいのではないかと感じる方もいるでしょうが、国籍を問わず警備員になることができます。

しかし、警備員になるためには日本人と同じように欠格事由に当てはまらないかどうかをチェックする必要があるので注意しなくてはなりません。また、国籍にかかわらず、ある程度日本語が話せないと警備員として採用されるのは難しいでしょう。

そのため、面接でしっかりと日本語を使えるように準備しておくことが大切です。そして、日本で働くためのビザも必要になるため、事前準備をきちんと行いましょう。

法律だけじゃない!警備員に求められる資質と適性

法律上の条件をクリアした上で、人物として警備員に向いているかどうか、という視点も重要です。

警備員に「向いている人」の3つの特徴

警備員の仕事には、特に以下の3つの資質を持った人が向いています。日々の業務を安全に遂行するため、以下の特徴が重要になります。

  1. 強い責任感と使命感がある人
    警備員は人々の生命や財産を守る重大な使命を担う仕事です。任された現場の安全を最後まで守り抜くという責任感が欠かせません。
  2. 集中力があり冷静に対応できる人
    長時間の監視や巡回では、持続的な集中力が求められます。緊張感を保ちながら些細な異変も見逃さず、非常事態にも落ち着いて対処する冷静さが求められます。
  3. 体力があり規律正しく行動できる人
    警備員の業務は巡回や立哨などの立ち仕事が多いです。24時間体制の現場では夜勤など不規則な勤務もあり、体力と精神力を維持できる人が向いています。

逆に決められたルールやマニュアルを軽視してしまう人や、夜勤や不規則な勤務時間で体調を崩しやすい人は、警備員の仕事に不向きと言えるでしょう。

関連記事:施設警備に向いている人とは?向いてない人の特徴や働く上での心構えも紹介

【Q&A】警備員の欠格事由に関するよくある質問

警備員の欠格事由は法律で細かく定められていますが、実際には「どのように確認されるのか」「判断の基準はどうなっているのか」と疑問を持つ方も多いでしょう。ここでは、警備員の欠格事由に関して、よく寄せられる次の質問にお答えします。

  • 欠格事由に該当するかどうか、面接でどうやって確認されるのですか?
  • 昔のことでも正直に話した方が良いですか?
  • 警備業法の欠格事由は、今後変わる可能性はありますか?

Q1. 欠格事由に該当するかどうか、面接でどうやって確認されるのですか?

欠格事由の確認は、面接時の自己申告と採用時に提出する書類の両方で行われます。面接ではまず応募者本人の申告をもとに確認します。

加えて、採用時には住民票や身分証明書などの提出を求め、欠格事由に該当しないかを会社側で書類を確認します。虚偽の申告があれば経歴詐称とみなされ、採用取消や解雇の対象となることもあるため、その旨は面接時に丁寧に説明されます。

Q2. 昔のことでも正直に話した方が良いですか?

過去の出来事であっても、正直に伝えるのが望ましいです。警備業務では、誠実な姿勢が何より重要です。たとえ昔のトラブルであっても、事実を包み隠さず説明し、現在は問題が解決している旨を伝えれば、採用担当者の理解を得られることもあります。

正直な姿勢を示すことで、「誠実に仕事へ向き合える人」として好印象につながる場合もあるでしょう。

過去の経緯を隠したまま採用されても、後から発覚すれば信用を失い、採用取消や解雇につながる可能性があります。過去の出来事を隠すよりも、誠実に事実を話して信頼を得ましょう。

Q3. 警備業法の欠格事由は、今後変わる可能性はありますか?

警備業法の欠格事由は、今後も法改正により内容が変更される可能性があります。社会情勢や人権意識の変化に合わせて、警備業に関する法律は見直されてきました。

時代に即した人材確保のため、欠格事由の要件も改正されることがあります。実際に過去の改正では、以前は欠格事由とされていた「成年被後見人、被保佐人でないこと」という条件が削除されました。

今後要件が緩和されたり、新たに設けられたりすることもあるため、警備業を目指す場合は、最新の法改正情報を確認するのが重要です。

関連記事:【2024年改正】警備業法の改正点をわかりやすく解説!いつから施行?過去の歴史から今後の動向まで網羅 | 警備ドットコム

警備員になれない人となれる人の違いを認識しておこう!

警備員になろうと思って面接の準備などをしていたのに、欠格事由に当てはまってしまい不採用になるのは時間がもったいないです。

そのため、まずは警備員になれない人となれる人の違いをしっかり確認しておくことが大切になります。チェックした結果、欠格事由に当てはまらない方は警備会社の面接を受けに行って警備員を目指しましょう。

関連記事:警備員に年齢制限はある?年齢制限の詳細を解説!