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警備員の業務委託はどんな契約形態になる?契約形態から業務委託の注意点まで解説!

警備員が警備業務を行う際、ほとんどは警備会社が警備先であるクライアントと契約を結んでいます。

そういった契約は基本的に「業務委託契約」となるものの、具体的にどのような契約形態になるのか、詳しく理解できている方はそれほど多くありません。

そこで今回は、警備員の委託業務はどういった契約形態になるのかを詳しく解説するとともに、業務委託においてクライアントが警備員にしてはならない命令もご紹介します。

業務委託の契約形態

業務委託の契約形態

警備業に関わらず、業務委託には委任・請負・準委委任という3つの契約形態が存在しており、その中でも特に代表的なものとして知られているのが「委任契約」と「請負契約」です。

この2つの契約形態にどのような違いがあるのかを知るためにも、それぞれどういった契約形態なのか詳しく解説していきます。

委任契約

委任契約とは、特定期間内において「ある業務を行う」ことを目的とした契約です。

法律上業務の進捗や結果の報告も義務とされてはいますが、基本的には業務を行うことそのものが契約の本旨であり、「どれだけ業務を進めたのか」、「どれだけ成果を挙げたのか」などに関係なく報酬が発生します。

基本的にはいくつかの業務を継続的に続けるような業務において選択され、経理・事務・講師といった業種の業務委託でよく見られる契約形態です。

一定の業務を継続的に依頼したい場合には適していますが、依頼主は成果に関係なく報酬を支払う必要があるため、依頼主が「必ず成果物を得たい」と考えている場合などには向いていません。

請負契約

請負契約とは、委託された業務における完成および完了・成果を目的とする契約です。

委任契約とは違って業務ではなく業務によって生まれた成果が重要視される契約で、仕事の成果のみに対して報酬が発生します。

契約において定められた成果が出なければ、それに対して依頼主が報酬を支払う義務なども発生しません。請負契約は、主に成果物を依頼主が要求している場合に選択されるものです。

ホームページ制作やデザイン業務、システム構築などでよく見られます。成果物が明確な業務の依頼に適している一方で、業務の成果・完了が明確でない業務を委託する場合には適していない契約形態だと言えるでしょう。

警備員の契約は請負契約

警備員の契約は請負契約

前述したように、委任契約と請負契約はそれぞれ契約内容に違いがあり、それぞれ選択される業種にも違いがあります。

では、警備員の業務委託がどちらに当たるのかというと、結論から言えば「警備員の契約は”請負契約”にあたる」となります。

警備員の警備業務は継続的な業務のようにも思えますが、実は警備員の業務には「安心と安全の提供」という責務が存在しており、警備員は勤務中に警備を全うすることが成果として扱われるのです。

したがって、ホームページやソフトウェアなど形はなくとも、警備を全うすることによる「成果」を出さなければ業務を完了したとは言えません。

例えば警備員が一日中お店の前に立っていたとして、「その警備員は何も仕事をしていなかった」と言えるでしょうか。警備員がその場にいなければ、強盗に襲撃されたり、第三者に何かしらのトラブルが発生したりしていたかもしれません。要するに、「警備員がその場にいたからこそ、お店の平和が保たれていた」という見方ができるわけです。

警備員は安心・安全の提供が責務のため、誰かを捕まえた、不審者を追い払ったなどの実績に関係なく、「平和を保った」というのがその日の業務における成果となります。

警備業を委託する依頼主としては「安全を守ってほしい」という目的があることがほとんどなので、基本的に警備員の業務委託は「安全を守る」という成果が目的のもの、つまり「請負契約」に当たるのです。

請負契約で警備員にしてはいけない命令

請負契約で警備員にしてはいけない命令

請負契約は委任契約と違い、委託元の人員に対して依頼主が命令を下すことは基本的に禁止されており、警備員の場合は委託元である警備会社だけが命令を下すことができます。

ただし、スーパーマーケットの警備など警備範囲が広い場合においては、依頼主から施設内に限って警備場所の変更を命令されることも珍しくありません。そういった命令は従ってもOKですが、逆に請負契約において警備員に命令してはいけない、従ってはならない命令というものが存在します。

スーパーマーケットの例で言えば、警備業務に関係のないあらゆる命令が「警備員にしてはいけない命令」となります。例えば、警備場所が近いからといって商品の陳列やエリアの清掃・接客をしてほしいという命令です。

これらは警備業務とは一切関係がなく、契約範囲外の行為と言えるため、スーパーマーケット側がこういった命令をすることは契約違反となります。同時に、そういった命令に対して警備員が従う義務も当然ありません。

警備員の業務委託は「請負契約」に当たる

業務委託には大きく分けて委任契約・請負契約の2種が存在していますが、警備員の場合は基本的に「請負契約」の形態で業務委託がなされます。

したがって、警備業務を委託する場合、警備員に対してしてはならない命令・従わなくても良い命令などが存在します。

これから警備業務を委託しようとしている方、あるいは警備員になろうとしている方は、ここでの内容を参考にしながら業務委託に関する理解を深めてみるのが良いでしょう。

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