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警備員が付けている紐の正体はモール!その役割と用途について

警備員が付けている紐の正体はモール!その役割と用途について

警備員の制服や携帯装備は、担当する仕事や警備場所によって異なります。多くの場合は、ジャケットと制帽を着用して勤務することになるでしょう。

その際に、ジャケットの肩に紐状の携帯装備を取り付けるのが一般的です。この装備は警備員にとってとても大切なものです。しかし、この装備にどのような役割や意味があるのか、あまり知られていないのではないでしょうか。

警備員が付けている紐の正体はモール

警備員が付けている紐の正体はモール

警備員が肩から掛けている紐は「モール」と呼ばれる警備道具です。

紐の先に警笛を付けて使うことから「警笛紐」とも呼ばれています。モールは、紐の片側が大きな輪状に編みこまれているのが一般的です。

この輪に右肩を通し、制服のジャケットの肩に付いている留め帯(エポーレット)で固定して装備します。警笛は垂れ下がった状態にならないように、胸ポケットに納めます。

モールを装着する方向は、紐の編み目が正面から見てV字状になるように装備することが多いようです。

モールの種類や色

モールにはさまざまな種類が存在します。各警備会社は公安委員会に届け出を出したモールであれば、好きなものを利用できます。どのようなモールを使うべきかの決まりはないので、種類や色は警備会社が自由に決めることが可能です。

シングルタイプとダブルタイプ

紐の編み方によってモールは主に2種類に分けられます。3本編みの細いモールはシングルタイプ、6本編みの太いモールはダブルタイプと呼ばれています。

シングルタイプは夏場の警備や軽装での仕事に向く軽やかさがあるモールです。一方でダブルタイプは重厚な風格を感じさせます。そのためダブルタイプは式典などの格式が求められる場での警備によく用いられています。

色の違い

モールには赤・黄・青・白などさまざまな色が存在しており、警備会社ごとに使用している色は異なります。

警備の現場では、誰がリーダーか一目でわかるようにすることは、情報伝達や指揮系統の明確化のために、大切なことです。このような理由から、役職の違いをモールの色でわかるようにしていることが多いです。

しかし、モールの色に特別な使用規則が存在しているわけではありません。なお、式典などの特別の場では、銀色や金色のモールがよく用いられます

警笛紐と警笛吊り鎖

モールは素材によっても呼び方が変わります。レーヨン素材などで作られた紐状のものは「警笛紐」、金属製の鎖のものは「警笛吊り鎖」と呼ばれることがあります。警笛紐はフォーマルな装いにも向いているので、格式を重んじるような場所での利用で好まれるモールです。

警笛吊り鎖は、警笛での利用に向いており、軽く装備しやすいという特徴を持っています。ですが、警笛を吊り下げる以外の使用にはあまり向いていません

モールを使用する時

警備員が付けている紐の正体はモール

モールはその形状から飾りのように考えられがちです。けれども、実際にはさまざまな役割があります。どのような場合にモールを使うのか、以下で解説します。

警笛を利用するとき

モールには警笛がつなげられています。これは、いざというときに警笛をすぐに取り出しやすくするためです。警笛は交通誘導や緊急時、不審者を見つけたとき、あるいは危険を知らせるために吹きます。

モールに警笛をつなげておけば、このような場面でスムーズに警笛を使えるので便利です。また、緊急時の利用時に警笛を落としてしまったり、使わない間に警笛を紛失するといったトラブルを避ける効果もモールにはあります。

緊急逮捕など拘束の必要がある場合

警備員は不審者や暴漢などを見つけたときには、現行犯逮捕の必要にせまられることがあります。逮捕は警察官にしか許されていないと考える人もいるかもしれません。しかし、目の前で現に犯罪が行われている場合には、警備員を含む私人による逮捕が認められています。その際にモールは拘束具として使えます。

ほとんどのモールは、締め具がついているので、それを使えば簡単に人を拘束することが可能です。ただし、モールの形状や素材によっては拘束具としては用いれない場合があるので、注意してください。

なお、犯人を逮捕した後はすみやかに警察や検察へと引き渡さなければなりません。その際に、過剰な拘束や暴力、あるいは取り調べをしてしまうと、現行犯逮捕した者が監禁罪や暴行罪に問われることがあります。

そのため、犯人の抵抗が激しい場合や、周囲への被害があるときなど、限られた場合にのみモールを使用するようにしましょう。

止血などの応急手当に使う

警備員は事故などの緊急事態が発生したときなどに、けが人の処置をしなければならないことがあります。モールは手錠のように締められる構造になっているので、それを利用して応急手当に使うことができます。

例えば止血です。出血している患部よりも心臓に近い部位をモールで締め上げることで、止血が可能です。また、骨折したときには警棒を患部にあてた状態でモールを使い固定すれば、簡易的な添木にすることができます。

モールは警備員に必須のマルチアイテム

警備員の肩にかけている編み紐のような装備品はモールと呼ばれており、警笛を吊り下げて使います。モールは、紐の太さや色、あるいは素材によって、さまざまな種類に分けられます。

しかし、その用途に大きな違いはありません。モールの用途は主に警笛を吹きやすくすることですが、利用の仕方によっては、拘束具や応急手当の道具としても使えます。警備員にとって欠かすことのできない多様性のある装備品です。