コラム
警備員に仮眠時間を与える必要がある?法律や注意点について解説
警備業務を依頼する際、シフトの調整や休憩時間の設定が必要になります。夜勤をともなう警備業務の場合は、仮眠時間の設定も必要です。
この記事では、警備員の仮眠について解説します。
- 警備員の仮眠に関する制度、法律、賃金
- 警備員の仮眠時間を設定する際の注意点
上記の内容について解説しているので、警備を依頼する際の基礎知識としてぜひご参照ください。
目次
警備員には仮眠や休憩時間を設定する必要がある
警備員のシフトを調整する際、仮眠や休憩時間の設定をする必要があるかどうか気になっている方も多いのではないでしょうか。
結論から言うと、仮眠や休憩時間の設定は必要です。警備業務における、仮眠・休憩時間の制度について解説します。
警備の仕事は変形労働時間制
警備の仕事には、休憩や仮眠の時間が必要です。休憩や仮眠を取らないと疲労がたまり、警備業務に支障をきたしてしまうことが考えられます。
ただし、休憩や仮眠の時間やタイミングは固定ではなく、変則的に決めることができます。これは、警備の仕事には変形労働時間制という制度が適用されているからです。
労働基準法の第41条では、労働者の休憩時間について以下のように定められています。
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
引用:労働基準法
上記の「監視又は断続的労働に従事する者」の範疇に、警備業が含まれています。
変則労働制の適用により、たとえば24時間勤務の場合、仮眠・休憩時間が合計8時間程度、労働時間は16時間程度であることが多いです。
警備内容や現場の方針に応じて仮眠・休憩時間を設定
警備員の休憩や仮眠、待機時間の時間数やタイミングは、現場により異なります。
警備員が複数人いる場合、交代して休憩を取れるよう調整が必要です。夜間勤務の場合は、6時間程度の仮眠時間と待機時間を設ける場合もあります。待機時間とは、警備室でモニターなどを見ながら待機する時間のことです。
休憩・仮眠・待機時間は決まりがあるわけではなく現場により異なりますが、長時間勤務が続くと疲労が溜まり業務に支障をきたしてしまうので、適切な設定が必要です。
業務のために、仮眠や休憩の他に食事をとることも必要です。警備員は、仮眠や休憩、待機時間中に食事をとっても良いとされています。
ただし、仮眠や休憩時間に一切業務をさせてはいけないわけではありません。警備員は、不審者の侵入など警備業務が発生したらすぐに対応できるようにしておく必要があります。
仮眠・待機時間中も賃金を支払う必要がある
警備を依頼する側は、仮眠や休憩、待機時間中も賃金を支払うのかという点が気になるところです。結論から言うと、仮眠・休憩・待機時間中も賃金の支払いが必要です。
ただし、変形労働時間制を採用しているため、勤務時間が8時間を超えても残業代は発生しません。週の平均労働時間が40時間を超えた場合には、残業代が発生します。
休憩時間や仮眠時間に賃金を支払わなかったことについて裁判になり、休憩時間や仮眠時間も労働時間にあたるという判決がなされたこともあります。警備依頼の予算を組む際は、休憩・仮眠・待機時間中の賃金も計算に入れることが重要です。
警備員の仮眠時間を設定する際の注意点
警備員の仮眠時間を設定する際、以下の点に注意が必要です。
- 労働基準法と労使協定を遵守する
- 相当の睡眠施設を用意する
仮眠・休憩時間を適切に設定するための注意点について、1つずつ解説します。
労働基準法と労使協定を遵守する
仮眠や休憩時間は現場ごとに柔軟に設定できますが、労働時間については法律を遵守する必要があります。
労働基準法では、労働時間について以下のように定められています。
第34条 使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
引用:労働基準法
また、1年単位で変形労働時間制を採用するには、以下の事項を定める必要があります。
<労使協定の締結>
1) 対象期間を1か月を超え1年以内とし、
2) 対象期間を平均し、1週間当たりの労働時間が40時間を超えない範囲内で、
3) 1日10時間、1週52時間以内(対象期間が3か月を超える場合、1週48時間を超える週の数について制限あり)、連続して労働させる日数の限度が6日(特定期間については1週に1日の休日が確保できる日数)
4) 対象期間における労働日及び当該労働日ごとの労働時間を特定するとともに、
5) 労使協定の有効期間を定める
引用:週40時間労働制の実現 1ヵ月又は1年単位の変形労働時間制
労働時間ならびに休憩時間については、労働基準法と労使協定に違反しないよう設定することが重要です。
相当の睡眠施設を用意する
警備員の仮眠時間を設定する際は、相当の仮眠施設が必要となります。仮眠施設は、仮眠用の部屋を別途設けている場合や、休憩室と一体になっている場合があります。
仮眠施設について、規定はありません。ですが、騒がしい場所は避ける、休憩室と一体になっている場合は仕切りを設けるなど、警備員が心身を休ませられるような作りにしておくことが望ましいでしょう。
まとめ
警備員の業務時間の中には、休憩・仮眠・待機時間の設定も必要です。警備業務を遂行するためにも、適度に心身を休める必要があります。
変則労働制が適用されるので仮眠時間やタイミングは現場により柔軟に設定できますが、労働基準法や労使協定を遵守する必要があります。また、休憩時間や仮眠時間も賃金の支払いが必要です。
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