コラム
警備における不審者対応|できること・できないことを解説
施設に不審者が侵入してきた場合、施設の利用者の安全を守るために不審者対応を行う必要があります。警備を依頼する際、警備員が不審者に対して、具体的にどのような対応を行ってくれるのかが気になるところです。
この記事では、不審者に対する具体的な対応方法や、警備員では行うことのできない対応、注意点などについて解説します。
目次
警備における不審者対応とは
警備業務における不審者対応で、具体的にどのようなことを行うのか解説します。
不審者対応は1号警備の業務内容
不審者対応は、1号警備の業務内容に含まれます。1号警備とは、オフィスやショッピングモール、学校、病院などを警備する警備業務のことです。
警備中に不審者が施設に侵入してくる可能性があり、1号警備員が不審者対応にあたります。
不審者がいないかどうか警戒し、不審者を発見した場合は施設の利用者に危害を加えたり万引きや窃盗をしたりしないよう対処します。犯行現場に居合わせた場合は、不審者の制止や警察機関への通報も業務の範疇です。
不審者対応の手順
不審者対応は、以下の手順で行います。
まず、不審者と思われる人物を発見したら、観察して警戒します。誰が不審者なのか一見して分かりづらい場合もありますが、その場や時間帯にそぐわない、何か違和感があるなどの理由で不審者だと疑われる人物に対し警戒が必要です。
不審者を発見した場合は、警備の責任者に報告します。その後、不審者に声をかける、危害を加えられそうな場合は制止するなどの対応が必要です。
警備業務での不審者対応の注意点
警備業務における不審者対応の際は、以下の点に注意が必要です。
- 不審者対応はチームで行う
- 不審者を逮捕することはできない
- 不審者対応は慎重に行う
- 臨機応変に不審者対応をする
警備員は警察ではないので、逮捕や職務質問をすることはできません。またあらゆる事態に備えて、臨機応変な対応が必要です。
不審者対応の注意点について、1つずつ解説します。
不審者対応はチームで行う
不審者対応は1人ではなく、チームで行うことが重要です。不審者対応中は、不測の事態に備える必要があり、1人だと対処しきれない可能性もあります。
不審者から攻撃された場合は、制止や捕捉をすることも必要です。危険な状況になることも考えられるので、1人では行わず、必ずチームで対応します。
不審者を逮捕することはできない
1つ目の注意点は、警備員は警察ではないので、不審者を逮捕することはできないということです。あくまで迷惑行為をしないよう制止しつつ警察に通報し、警察官の到着を待ちます。ただし、現行犯の場合は現行犯逮捕をすることが可能です。
<現行犯逮捕の対象となるケース>
- スリ、万引き
- 暴力
- 痴漢
上記のような場合は現行犯逮捕ができますが、不審者に対して取り調べを行うことはできません。また、軽微な犯罪の場合は逮捕ができませんが、犯人の住所が特定できなかったり、闘争の危険性がある場合は現行犯逮捕が可能です。
軽微な犯罪とは、以下のケースが該当します。
- 法律上の定義:刑事訴訟法217条「30万円以下の罰金、拘留や科料に当たる罪」
- 具体的なケース:過失傷害罪、侮辱罪など
不審者対応は慎重に行う
注意点の2つ目は、不審者対応は慎重に行うということです。
不審者を刺激すると、暴れたり攻撃されたりする可能性があり、周囲にも被害が及ぶ可能性があります。刺激しすぎないよう丁寧に対応しつつ、万が一の場合に備えることが重要です。
また、警備員は基本的に逮捕ができないのと同様、警察官のように職務質問をすることもできません。警備員の職務の範囲を超えないよう、慎重な対応が求められます。
臨機応変に不審者対応をする
3つ目の注意点は、いつどこに不審者が現れるかわからないので、気を抜かず臨機応変に不審者対応をすることです。想定していない場所やタイミングで不審者に遭遇しても慌てず、周囲の状況を見ながら柔軟に対応します。
不審者対応に必要な資格や研修
警備を依頼する際は、警備員がどれくらい不審者対応の実力を備えているのか気になるところです。
警備員は、新任教育において不審者対応に必要な護身術や警棒の扱い方などを学びます。また、施設警備業務検定でも、不審者対応の問題が出題され、警戒杖の操作方法や警察機関への連絡などの実技試験を行います。
より不審者対応を強化したい場合は、検定合格者の配置を検討するのがおすすめです。
まとめ
施設の警備を行う警備員は、常に不審者を警戒し、不審者を発見した場合は対応を行います。不審者への声かけや制止などを行いますが、警察官ではないので逮捕や職務質問を行うことはできません。また、不測の事態に備えて、1人ではなくチームで不審者対応をすることが重要です。
警備を依頼する際は、不審者対応の範疇を理解したうえで、不審者対応の強化を希望する際は複数名の警備員の配置や検定合格者の配置を検討するのがおすすめです。
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