コラム
保安警備とは?業務内容と最適な警備会社の選び方を徹底解説

保安警備とは、人や建物、情報をさまざまなリスクから守るために、「予防」「発見」「初期対応」を通じて安全を確保する仕組みです。
本記事では、保安警備の基本的な考え方をはじめ、人的警備と機械警備の違い、保安警備員の主な業務内容、自社に適した警備会社を選ぶためのポイントを解説します。安全な施設運営に向け、対策の整理から警備体制づくり、会社選びまで進めたい方は参考にしてください。
目次
保安警備とは

保安警備とは、不審者や不審物の侵入、火災や事故を未然に防ぎ、施設の安全を確保する警備業務です。警備業法上は主に「1号警備(施設警備)」に分類され、常駐・巡回警備、出入管理、監視業務、機械警備、さらに空港での保安検査などが含まれます。
一般に「保安」というと、店舗での万引き防止(店舗保安)を指すことがありますが、本来の保安警備は、商業施設、オフィスビル、空港など幅広い施設を対象とする業務です。なお、来場者の誘導や雑踏整理などは2号警備に区分され、1号の保安警備とは区別されます。
保安警備員を配置すれば、現場のリスクを早期に察知し、非常時には迅速かつ的確な対応が可能になります。トラブルや事件の発生を未然に防ぎ、万一発生した場合も被害の拡大を防げるため、保安警備は施設運営の安全対策に欠かせません。
参考:警備業の認定申請|警視庁
保安警備と施設警備、機械警備の違い
保安警備は「人、物、事案の未然防止」を目的とする概念で、その実行方法として施設警備と機械警備があります。
施設警備では、警備員を施設に常時配置し、館内の巡回、入退館の確認・記録、出入口の警戒を行い、事故や盗難の発生を防ぎます。
機械警備は、センサーや防犯カメラを建物内に設置し、遠隔で監視します。異常を検知した場合は、通報や警備員の出動で対応します。
つまり、施設警備は人による常駐型、機械警備は機器による遠隔型として、双方が補完し合いながら保安警備の目的を果たしています。適切に組み合わせることで、安全性と効率性を高められるのです。
参考:警備業法等の解釈運用基準について(通達)|警察庁(P.5「第2定義(法第2条関係)4「機械警備業務」の定義」部分)
保安警備員の具体的な業務内容
保安警備員は、施設の安全管理を多角的に担っています。ここでは、保安警備員の具体的な業務内容を紹介します。
- 巡回警備|施設警備
- 出入管理|施設警備
- 監視業務(防犯カメラのモニタリング)|施設警備、機械警備
- 私服警備(店舗保安)|施設警備
- 空港保安警備|施設警備
巡回警備|施設警備
巡回警備では、施設内外を見回り、異常がないか確認します。扉や窓の施錠状況、不審者や不審物の有無、火気の消し忘れなどを点検し、非常事態の発生を未然に防ぐのが目的です。
実施例は、以下のとおりです。
- オフィスビルでは、終業後に会議室や非常階段に人が残っていないかを確認し、サーバー室や電気室の施錠や温度を確認する
- 工場では、危険物を保管する場所や設備の周辺を見回り、漏れ・熱・音の異常を確認する
出入管理|施設警備
出入管理は、出入口や通用口で車両および来訪者を確認し、許可のない者の立ち入りを防ぐ業務です。社員証や身分証の照合、入館証の発行、回収、搬出入物品のチェックなどを通じて安全を確保します。
実施例は、以下のとおりです。
- 商業施設では、配送業者やテナントの搬入口を管理し、路上での停車や無断搬入を防ぐ
- 病院では、面会受付や通行ルートを分け、救急外来や病棟への立ち入りを制限する
関連記事:施設警備の出入管理(受付業務)とは?必須スキルと現場でのコツを紹介
監視業務(防犯カメラのモニタリング)|施設警備、機械警備
監視業務では、防犯カメラ映像や各種センサーのアラームを常時モニタリングし、施設内の安全を確認します。死角が生じやすいため、防犯カメラや各種センサーを併用して監視するのが役目です。
- 商業施設では混雑時の置き引きなど不審な動きを検知し、フロア担当者と連携して必要に応じて通報する
- 病院では制限区域の入退室アラームを確認し、現場対応と医療スタッフへの即時連絡を行う
私服警備(店舗保安)|施設警備
私服警備は、制服を着用せず店内を見回り、不正行為やトラブルの兆しを確認する業務です。売場の死角や客の行動を観察し、必要に応じて店舗スタッフや警備室と連携します。
実施例は、以下のとおりです。
- 百貨店や専門店では、試着室や通路の合流点を中心に巡回し、商品の持ち去りやタグ外しなどの不正を確認する
- ショッピングモールでは、複数店舗にまたがる行動を把握し、テナント間で情報を共有する
空港保安警備|施設警備
空港保安警備では、保安検査場や制限区域の出入口で人や手荷物、貨物を確認し、航空機と施設の安全を確保します。危険物や禁制品の持ち込みを防ぎ、動線と身分確認でリスクを抑えるのが目的です。
実施例は、以下のとおりです。
- 保安検査場では、手荷物のX線検査や金属探知機による検査、必要に応じた目視確認・再検査を実施し、検知結果に応じて係員に引き継ぐ
- 駐機場(エプロン)や手荷物取扱エリアでは、不審物や無許可者の有無を巡回で確認し、発見時は関係機関と連携して安全を確保する
関連記事:空港警備はきつい?仕事内容、やりがい、必要なスキルを解説
【ステップ別】適切な保安警備サービスを選ぶための判断基準

保安警備を導入する際は、自社のリスクや目的に合わせて最適なサービスを選びましょう。ここでは、保安警備を選ぶ際に押さえておきたい判断基準を4つのステップで紹介します。
- 自社のリスクを洗い出し、依頼したい内容を明らかにする
- 人的警備か機械警備か、または2つを組み合わせるかを検討する
- 導入範囲と規模を検討する
- 内容と予算のバランスを考慮し、複数の警備業者を比較する
1.自社のリスクを洗い出し、依頼したい内容を明らかにする
自社が直面している課題や想定するリスクを洗い出しましょう。現状を「見える化」すれば、依頼するべき業務が明らかになり、自社に適した警備会社を選定しやすくなります。
顕在化しているリスクを整理すれば、自社が今まで見落としていた潜在的なリスクに気付けることもあります。あらゆるリスクを書き出して、重要度の高い順に対応しましょう。
2.人的警備か機械警備か、または2つを組み合わせるかを検討する
洗い出したリスクを踏まえ、「人」「機械」「併用」のいずれを採用するかを考えましょう。人的警備は現場での対応力や抑止効果があり、状況に応じた判断ができます。また、機械警備は24時間の監視や記録の確実さ、費用面での効率に優れています。
多くの施設では、人と機械を組み合わせた体制を採用しています。カメラやセンサーで常時監視し、必要な時間帯に警備員が巡回・待機する方法です。自社の業務内容やリスクの傾向に合わせて、最適な体制を検討しましょう。
3.導入範囲と規模を検討する
警備員を何名配置するか、24時間体制にするか、あるいは週末のみ導入するかなど、警備サービスの範囲と規模を整理しましょう。
敷地が広い施設やフロアの多いビルでは、複数名での配置や巡回ルートの計画が求められます。一方、小規模なオフィスであれば、日中に受付兼務の警備員を1名置くだけで十分な場合もあります。
業務の実態に合わせて体制を整え、過不足のない効率的な警備プランを立てましょう。
4.内容と予算のバランスを考慮し、複数の警備業者を比較する
一般的に人的警備は機械警備に比べて費用がかかりますが、その分得られる安心感や柔軟な対応力があります。安全性とコストのバランスを考え、予算内で最大の効果を発揮できる体制を目指しましょう。
複数の警備会社から見積もりを取り、サービス内容と金額を比較検討すると、費用対効果の高い選択がしやすくなります。価格の低さだけで判断するのではなく、「本当に自社に必要な警備か」「価格に見合うサービスか」を総合的に判断することが大切です。
また、法令遵守の姿勢、営業所の所在地、警備員の教育体制なども重要な比較のポイントです。警備会社の選び方について、詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:契約前に必読!警備会社の賢い選び方を解説
まとめ
保安警備は、施設の安全を守るために欠かせない仕組みです。具体的な業務内容を理解し、自社の状況に合った警備形態を選べば、効果的なセキュリティ対策を実現できるでしょう。
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