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警備員指導教育責任者とは?仕事内容から合格率、年収まで徹底解説!

警備員指導教育責任者は、警備業界で警備員の指導・教育を担う重要な国家資格です。現場経験を活かしながらキャリアアップや年収アップを目指せるほか、体力的な負担が少なく長期的に活躍できる点も魅力です。

本記事では、警備員指導教育責任者の概要や仕事内容、資格取得までの流れを紹介します。また、試験の難易度や合格率、合格のコツ、さらにキャリアや年収の展望についても解説します。

警備員指導教育責任者とは?警備のプロを育てる国家資格

警備員指導教育責任者は、警備員教育を統括する国家公安委員会認定の国家資格保持者のことです。警備業法により、営業所ごとや業務区分ごとに選任・配置が義務付けられています。警備会社の教育体制の要であり、安全性とサービス品質の維持に欠かせません。

主な業務は以下の通りです。

  • 新人警備員への初任教育の計画・実施
  • 現任警備員の継続教育
  • 教育計画書の作成・改訂
  • 教育記録や関係書類の管理・保管
  • 会社への助言や業務改善提案

現場経験を活かして教育や管理に携われ、体力的負担が少ないため長期キャリア形成が可能です。法令に基づく責任ある職務であり、知識と経験を次世代に引き継げるやりがいも魅力です。

警備員指導教育責任者の4つの業務区分(1号・2号・3号・4号)

警備員指導教育責任者の資格は、警備業務の種類に応じて1号~4号の4区分に分かれています。それぞれ異なる現場や任務に対応するため、専門的な知識と技能が求められます。各号の概要は以下の通りです。

区分業務内容主な例
1号施設警備ビルや商業施設の巡回・出入管理
2号雑踏・交通誘導警備イベント会場の群衆整理、工事現場での交通誘導
3号運搬警備現金輸送車や貴金属・危険物運搬時の警備
4号身辺警備要人警護、ストーカー被害対策のボディーガード

参考:教育と資格 | 一般社団法人 全国警備業協会

各区分は独立した資格で、複数取得すれば兼任も可能です。

警備員指導教育責任者になるには?資格取得までの5ステップ

資格取得までの全体像を把握できるよう、警備員指導教育責任者になるまでの流れを5つのステップに沿って解説します。

  1. 受講資格を確認する
  2. 各都道府県公安委員会が行う講習に申し込む
  3. 講習を受講する
  4. 修了考査(試験)に合格する
  5. 資格者証の交付を申請する

ステップ1:受講資格を確認する

警備員指導教育責任者講習は誰でも受けられるわけではなく、一定の条件があります。主な要件は、直近5年間に取得希望区分の警備業務へ通算3年以上従事していること(複数社勤務の合算可)です。

別ルートとして、以下でも受講可能です。

  • 警備業務検定1級合格者:経験不問
  • 警備業務検定2級合格者:実務経験1年以上
  • 平成18年以前の旧制度合格者:条件次第で対象

また、元警察官は職務年数に応じて要件が緩和される場合があります。

参考:新規取得講習の受講|警視庁
関連記事:警備員におすすめの資格5選!取得方法・難易度・メリットを紹介

ステップ2:各都道府県公安委員会が行う講習に申し込む

受講資格を確認後、各都道府県公安委員会の公式サイトで講習日程を確認し、希望区分の講習に申し込みます。講習は初めて資格を取る「新規取得」と、既に資格者証を持ち別区分を取る「追加取得」の2種類です。

申込方法は地域で異なりますが、一般的には以下の流れです。

  1. 事前予約
  2. 必要書類の提出
  3. 受講料の納付

主な必要書類は次の通りです。

  • 受講申込書
  • 履歴書
  • 住民票
  • 本籍地の市区町村発行の身分証明書
  • 写真
  • 実務経験ルートの場合:警備業務従事証明書
  • 診断書
  • 誓約書

書類不備があると受理されないため、案内に沿って早めに準備しましょう。

ステップ3:講習を受講する

申請が受理されると、指定日程で警備員指導教育責任者講習を受講します。新規取得講習は約6~7日間、合計約47時間にわたり、朝から夕方までの終日カリキュラムが連日組まれており、警備業法や関係法令などの座学に加え、指導計画書作成や教育研修の進め方といった実務的講義も含まれます。

現任責任者が講師を務め、現場経験に基づく事例も紹介されます。修了考査は講習内容から出題されるため、講師が強調するポイントを的確にメモし、理解を深めることが重要です。真面目に受講することが合格への最短ルートです。

ステップ4:修了考査(試験)に合格する

講習の最終日には修了考査(筆記試験)が実施されます。試験の概要は以下のとおりです。

  • 出題形式:○×式、5肢択一などの選択問題
  • 出題数:新規取得講習は約40問、追加取得講習は約14問
  • 合格基準:8割以上の正解
  • 出題範囲:講習内容全般に準拠

不合格の場合は講習から再受講となります。

ステップ5:資格者証の交付を申請する

修了考査に合格すると講習修了証明書が交付されます。これを持参し、住所地を管轄する警察署で資格者証の交付申請を行います。

必要書類は、以下の通りです。

  • 交付申請書
  • 講習修了証明書
  • 履歴書
  • 住民票の写し
  • 顔写真

書類に不備がなく、禁錮以上の刑歴など欠格事由に該当しなければ、後日顔写真付き資格者証が交付されます。警備業法により常時携帯が義務付けられています。

気になる講習・試験の難易度と合格するための3つのコツ

図書館で女性が資格試験の勉強をしている様子の写真

最後に、講習の費用や試験の合格率など難易度の目安を紹介するとともに、合格を引き寄せるための3つのコツを解説します。

講習の費用

警備員指導教育責任者講習の受講手数料は、各都道府県公安委員会が定めているため地域により異なります。

例えば、東京都の場合は次の通りです。

区分新規取得講習追加取得講習
1号47,000円23,000円
2号38,000円14,000円
3号38,000円14,000円
4号34,000円10,000円

出典:警備業に係る手数料|警視庁

また、講習修了後に資格者証を交付する際には、交付手数料が別途必要です。詳細は受講予定の都道府県公安委員会で確認しましょう。

試験の難易度と合格率

修了考査の合格率はおおむね80~90%と高く、講習内容を理解すれば十分合格可能です。同じ警備業界資格の警備業務検定1級(合格率約60%)より易しく、多くの受講者が合格しています。ただし近年は一部地域で合格率が低下傾向との報告もあり、油断は禁物です。

講習で学んだ内容を復習し、講師が強調したポイントを押さえて試験に臨みましょう。不合格になれば再受講となり、時間と費用が無駄になるため最後まで気を引き締めましょう。

合格を引き寄せる3つのコツ

修了考査に合格するための3つのポイントは以下の通りです。

  1. 講習に集中する:講師が強調する箇所を漏れなくメモし、その場で理解を深めましょう。試験は講習内容から出題されるため、真摯な受講姿勢が最重要です。
  2. 過去問題集や教材を活用する:市販テキストや過去問集、講習配布資料を繰り返し解き、出題傾向に慣れておくことで合格率が大きく向上します。
  3. 法律や数値を正確に暗記する:警備業法や関連法令の条文・期間・数値を正確に覚え、引っ掛け問題にも対応できるよう準備しましょう。

講習期間中の姿勢や取り組み方がそのまま合否に直結すると言っても過言ではありません。与えられた教材と時間を最大限活用し、自信を持って試験に臨んでください。

警備員指導教育責任者の年収・キャリアパス

警備員指導教育責任者の資格を取れば、警備会社から重宝される専門人材としてキャリアアップや年収アップにつながります。

実際、施設警備員の平均年収(353.8万円)や雑踏・交通誘導警備員の平均年収(329.2万円)に比べ、指導教育責任者として管理職に就けばそれらを大きく上回る収入を得られる可能性があります。年齢を重ねても現場を支える教育担当者として長く働ける点も魅力でしょう。

出典:施設警備員 – 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)
出典:雑踏・交通誘導警備員 – 職業詳細 | 職業情報提供サイト(job tag)

まとめ

警備員指導教育責任者は、警備員としての実務経験を積み、専門的な知識と技能を備えた人が取得できる国家資格です。警備業法により営業所および業務区分ごとに選任が義務付けられており、有資格者は業界内で重宝されています。警備員指導教育責任者の資格取得を進めたい方は、早めに講習情報を確認し、受験準備を進めてみてください。