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自家警備は違法?国交省の通知と自治体要領をわかりやすく解説|条件・手続き・下請けの扱いまで

「自家警備とは?」「自家警備は違法にならないの?」などと悩んでいませんか?自家警備は、一定の条件を満たせば自社従業員による警備が可能な制度です。警備業法の適用外となるため、適切な手続きと体制を整えれば、自社従業員でも現場管理が実施できます。

本記事では、自家警備の基本的な概念や実施に必要な具体的な条件に加え、警備業法との関係性や実施手順を解説します。違法・NGと判断されやすいケースや導入時の重要な注意点もまとめているため、ぜひ参考にしてください。

自家警備とは?

道路で警備をしている男性警備員の後ろ姿

自家警備とは、建設会社などの受注者が自社の従業員によって直接、現場の警備業務を行うことを指します。通常であれば警備会社に業務を委託し、有資格の警備員を手配するのが一般的です。

しかし、自家警備では警備会社に依頼せず、自社内で体制を整え、社員が誘導員として現場の安全確保にあたります。

なお、警備業法第2条第1項では「他人の需要に応じて行う」業務のみを警備業務と定めています。そのため、自家警備は警備業法上の「警備業務」には該当しません。

出典:警備業法 | e-Gov 法令検索

自家警備の魅力

自家警備は警備員の手配や調整の手間を省け、現場の進行状況に合わせた迅速な対応ができます。人件費の削減効果に加え、自社従業員による責任ある警備体制を確立できます。

また、現場状況の把握が容易になり、工事の進捗に応じた柔軟な警備体制の調整が可能です。さらに、自社従業員の人材育成にもつながります。

警備業法との関係性

自家警備は、警備業法の適用外となる警備形態です。自社従業員による警備は、請負契約に基づく警備サービスには該当しません。

警備業の許可を得る必要はありませんが、安全管理の責任は建設会社が負います。ただし、道路使用許可等の関連法規は遵守する必要があります。

自家警備は違法?警備業法との関係を整理

自家警備は、一定の条件を満たす場合には警備業法の適用外となり違法には当たりません。警備業法第2条第1項が規定する「他人の需要に応じた警備業務」に該当しないからです。

ただし、この取扱いは特例であり、条件を逸脱すれば違法と判断される可能性があります。他の建設会社や下請業者の従業員を受け入れて警備に従事させる行為は、実質的に他社人材による警備業務であり、警備業法違反になる恐れがあります。自家警備は必ず自社と直接雇用契約を結んだ従業員のみで実施しましょう。

自家警備の実施に必要な条件

指を差す警備員

自家警備の実施には、以下の手続きや実施体制の整備が不可欠です。

  • 警備員確保の証明
  • 指定の資格を取得
  • 自家警備が必要な現場
  • 実施体制の確保
  • 必要手続きの実施

詳しく解説します。

警備員確保の証明

自家警備の実施には、警備会社への照会記録と回答内容を文書で保管する必要があります。警備員確保が困難である具体的な理由を、明確に示さなくてはいけません。

照会から回答までの経緯を時系列で記録し、証拠として保管します。監督官庁への提出に備えた、適切な文書管理が重要です。

指定の資格取得

自家警備を始めるには、交通誘導警備業務検定に合格した従業員の配置が望まれます。

合格者は、高速道路や幹線道路など資格者の配置が義務付けられた現場で交通誘導に従事でき、一般の従業員では対応できない業務を担えます。また、指定路線を除く比較的単純な交通誘導については、資格がない従業員でも従事可能です。

交通誘導警備業務検定は、有効期限や定期的な更新制度はありません。ただし、事業者は常に最新の安全基準に基づき教育や訓練を行う責務があります。

自家警備が必要な現場

自家警備は工事用道路への出入口が少なく、支道部からの流入が限定的な現場が適しています。交通量や誘導の複雑さを考慮した現場評価が重要です。

現場周辺の交通状況や歩行者の通行量、道路形状などを総合的に判断します。季節や時間帯による交通量の変化も、考慮に入れる必要があります。

実施体制の確保

自家警備の実施には、現場責任者を中心とした明確な指揮命令系統の構築が必要です。緊急時の対応手順と、連絡体制を確立しなくてはいけません。

日常的な安全管理体制と、定期的な安全教育の実施計画を立案します。現場状況の変化に応じた体制の見直しと改善も重要です。

必要手続きの実施

自家警備の理由書と資格証明書の写しを提出し、監督職員の承認を得る必要があります。書類の保管と定期的な更新管理が重要です。

関係機関との協議記録や承認文書を適切に管理し、必要に応じて提示できる状態を維持しましょう。手続きの進捗状況を常に把握することが求められます。

自家警備の実施手順

自家警備の実施には、以下の段階的な手順が必要です。

  • 工事現場の指定路線外であることの確認
  • 警備業者との交渉
  • 自家警備の理由書作成
  • 実施体制の構築

実施にあたって、まず複数社の警備業者との交渉を行い、警備員確保が困難な場合は警備業協会への情報提供依頼を行います。その後、自家警備の理由書や資格証明書の写しなど必要書類を準備し、監督員の承認を得る必要があります。

承認後は工事記録簿への誘導員氏名の記録や代表写真による記録など、日々の管理を確実に行いましょう。

違法・NGになりやすいケース

自家警備において警備業法違反となるのは、他社から人員を派遣したり、下請けの従業員を活用したりする場合です。

国土交通省の通知でも、自家警備は警備員不足により警備会社が受注できない場合に限られるやむを得ない措置であり、奨励されるものではないとされています。

さらに、交通量の多い幹線道路や事故リスクの高い現場で自家警備を実施することは極めて危険であり、外部の警備会社に委託することが推奨されます。

また、自家警備の承認条件は自治体ごとに要領が異なるため、同じケースでも認められない場合があります。必ず事前に自治体の基準や承認手続きを確認しましょう。

出典:交通誘導員の円滑な確保について(補足)|国土交通省

自家警備を導入する際の注意点

指差す警備員

自家警備を導入する際には、以下の点に注意しましょう。

  • 他社の警備員派遣は違法扱いになる
  • 適切な教育訓練を実施する
  • 危険性の高い現場では自家警備の実施を避ける

詳しく解説します。

他社の警備員派遣は違法扱いになる

他社従業員の受け入れは警備業法違反となり、厳重な処分対象です。自社従業員による警備体制の確立が不可欠です。

違法な警備員派遣を防ぐため、従業員の雇用関係を明確にする必要があります。適切な人員配置と労務管理の徹底が求められます。

適切な教育訓練を実施する

交通誘導の基本から緊急時対応まで、体系的な教育プログラムの実施が必要です。定期的な訓練と評価による技能維持が、自家警備では重要です。

実践的な訓練内容と評価基準の設定により、警備品質の向上を図ります。現場の特性に応じた、適切な対応が求められます。

危険性の高い現場では自家警備の実施を避ける

交通量が多い場所や事故多発地点では、専門の警備会社への委託が推奨されます。現場の安全性を最優先した判断が必要です。

自家警備を行う際には、危険要因の特定と評価を適切に実施し、自家警備の実施可否を判断します。危険だと判断したら、専門警備会社と連携して対策を練りましょう。

関連記事:工事現場における警備員の重要性とは?依頼時の費用相場や導入事例を紹介

まとめ

自家警備は警備業法の適用外として扱われ、違法には当たりません。現場ごとに柔軟な対応ができ、警備会社への依頼が難しい場合でも、自社従業員が責任を持って対応できる点は大きな強みです。

ただし、他社従業員の利用は厳禁で、条件を満たさなければ違法となるリスクがあります。さらに、危険度の高い現場では自家警備が制限されることや、自治体によって認可条件が異なるなど、実施できない難しいケースもあります。

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