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密漁問題に向けた効果的な対策方法とは?成功事例をもとに解説

密漁問題に向けた効果的な対策方法とは?成功事例をもとに解説

「密漁問題の対策方法は?」「密漁対策の成功事例はある?」などと気になっていませんか?

密漁対策には、最新テクノロジーの活用や公的機関との連携強化など効果的な方法があります。2018年の漁業法改正や2022年の水産流通適正化法施行により、密漁に対する罰則も大幅に強化されました。

本記事では、日本の密漁問題の実態から最新の法改正、具体的な対策方法について解説します。密漁対策の成功事例までもまとめているため、ぜひ参考にしてみてください。

密漁問題の実態

磯遊びで網に捕らえられたウニと、水中の小石や海藻が写っている。

日本の密漁問題は年々深刻化し、水産資源と漁業経営に大きな打撃を与えています。ここでは、具体的な問題点について解説します。

日本の密漁検挙件数は増加している

日本全国で密漁の検挙件数が増加傾向にあり、特に漁業者以外による密漁行為が目立っています。2023年の全国の海上保安部、都道府県警察及び都道府県における漁業関係法令違反の検挙件数は1,653件です。

近年は組織的・広域的な密漁が増加し、夜間や人目につきにくい場所で行われるケースが多くなっています。スマートフォンの普及により釣りスポット情報が拡散され、無許可での採捕行為が増えていることが背景にあります。

参考:密漁を許さない ~水産庁の密漁対策~|水産庁

漁業生産に深刻な影響を受けている

密漁は漁業の生産活動や水産資源に深刻な影響を与える行為として、水産庁や各都道府県の公式サイトで位置づけられています。アワビやナマコなどの高価な水産物は密漁の標的となりやすく、資源量の減少が著しい状況です。

近年の密漁は極めて悪質化しており、組織的かつ広域的に無秩序な採捕が繰り返されています。資源管理のルールを認識していない一般市民による密漁も各地で発生しており、漁業生産に悪影響を及ぼしています。

密漁対策の最新の法改正と罰則

密漁対策として法制度が大幅に強化され、抑止力が高まっています。ここでは、具体的な法改正や罰則について解説します。

漁業法改正による罰則を強化(2018年)

2018年の漁業法改正により、密漁行為に対する罰則が大幅に強化されました。従来の罰則から引き上げられ、3年以下の懲役または3,000万円以下の罰金が科されます。

とくにアワビやナマコ、シラスウナギなどの特定水産動植物については保護が強化され、無許可での採捕に厳しい罰則が適用されます。

水産流通適正化法の施行(2022年)

2022年12月に施行された水産流通適正化法は、密漁品の流通を防止するための法律です。特定水産動植物などの取引記録の作成・保存が義務付けられ、製品がどのような流れで消費者の手に届くのか追跡できるようになりました。

アワビやナマコなどの取引には適切な漁獲証明が必要となり、密漁品の市場流通が困難になっています。密漁品の買取業者にも罰則が適用されるため、密漁を減少させる効果があります。

漁業権侵害の罰則引き上げ

漁業権侵害に対する罰則が100万円以下の罰金に引き上げられ、密漁抑止力が強化されました。漁業権は漁業者の生活基盤を守る権利であり、侵害行為に対する法的保護が充実しています。

密漁品の運搬・保管・取得・処分の媒介などに関わる行為にも、罰則が適用されるようになりました。密漁の全過程が取締りの対象となり、密漁ネットワークの解体に効果を発揮しています。

密漁に対する具体的な対策方法

埠頭に停泊している海上保安庁の巡視船「えちぜん」(PM25)が、青い空と緑の山々を背景に写っている。

密漁対策を実施する際には、以下の方法が効果的です。

  • 最新テクノロジーの活用
  • 公的機関との連携を強化
  • 漁場の監視体制の構築

詳しく解説します。

最新テクノロジーの活用

AIカメラやサーマルカメラ、水中音響センサーなどの最新技術が密漁対策に大きな効果を発揮します。夜間や悪天候時でも監視が可能となるため、人手による監視が必要ありません。

導入コストは機器によって数十万円から数百万円と幅がありますが、補助金制度の活用で負担を軽減できます。最新テクノロジーは密漁の早期発見と証拠収集に役立ち、密漁抑止力を高める重要な手段です。

公的機関との連携を強化

水産庁や海上保安庁、警察との連携を強化すれば、密漁対策につながります。連携後は、不審船や不審者の情報をリアルタイムで共有することが重要です。

合同パトロールの実施や緊急時の連絡体制の整備により、迅速な対応が可能となります。悪質化・組織化する密漁に対しては、合同パトロールや情報共有体制の構築が効果的です。

漁場の監視体制の構築

近年は、漁業者以外による密漁が増加傾向にあるため、漁業者による自主的な監視活動が重要性を増しています。漁業協同組合による夜間パトロールや監視カメラの設置、不審船や不審者の情報収集と共有などが必要です。

ほかにも、一般市民への啓発活動も監視体制の一環として重要です。資源管理のルールを認識していない一般市民は多いため、個人的な消費を目的とした密漁を防止する取り組みにもつながります。

密漁対策の成功事例

全国各地でも、密漁対策が実施されています。ここでは、密漁対策の具体的な成功事例について解説します。

ドローンによる上空からの監視

青森県の蓬田村と東通村では、ドローンを活用した先進的な密漁監視システムが導入されています。東通村の小田野沢漁協では2023年11月に赤外線カメラ搭載ドローンの実証実験を行い、不審船の遠隔監視に成功しました。

2024年5月時点で蓬田村漁協はすでにドローンを導入済みで、小田野沢漁協も導入を検討中です。両地域の取り組みは漁業者自身による「内製化」も進められており、全国のモデルケースとなる可能性を秘めています。

参考:11月24日(金)青森県蓬田村、27日(月)青森県東通村にてドローンによる密漁対策の取り組みを実施

水中音響センサーを用いた密漁監視システム

北海道増毛漁業協同組合では、OKIと矢口港湾建設と共同で水中音響センサーを活用した先進的な密漁監視システムを導入し、大きな成果を上げています。水中の音を検知して密漁船やダイバーを発見するもので、2020年8月から本格運用が開始されました。

2021年7月にはシステムが検知した不審音情報に基づいて漁協と警察署が見回りを行い、密漁被害の防止に成功しています。アワビやナマコなど、高級食材を狙う組織的な密漁対策として、非常に効果的であることが実証されました。

参考:水中音響活用による密漁対策IoTサービス

まとめ

密漁問題は水産資源と漁業経営に深刻な影響を与えており、早めの対策が必要です。法改正による罰則強化や最新技術の活用、関係機関との連携が効果的な対策となります。

漁業協同組合や自治体が密漁対策として警備を導入する際には、専門知識を持った警備会社の選定が重要となります。警備会社マッチングサービス「警備ドットコム」を活用すれば、漁港や海岸での警備に適した警備会社を無料で見つけられます。

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