コラム
私服警備員とは?役割・制服警備との違いや導入のメリット・デメリットを解説

私服警備員とは、あえて制服を着用せずに一般客と同じように振る舞いながら、周囲に気付かれない形で防犯を担う専門スタッフのことです。
本記事では、私服警備員の役割や制服警備員との違い、求められるスキル・資格や導入の費用相場を紹介します。具体的な活躍の場面や導入のメリット・デメリットも解説しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
私服警備員とは?

私服警備員とは、制服を着ずに一般客のように行動しながら不正やトラブルを防ぐ保安スタッフのことです。
店舗やイベント会場などで不自然な行動を見抜き、必要に応じて現行犯を確保します。証拠の確認や関係者との連携を行い、被害を最小限に抑えるのも役割です。
私服警備員は見えないところから店舗の安心と利益を守る、専門性の高い職種と言えます。
私服警備員と制服警備員の違い:服装と抑止方法
私服警備員と制服警備員の違いは、服装と抑止の方法です。
制服警備員は店舗の入り口やフロアに立つことで「見える抑止力」を発揮し、犯行を思いとどまらせます。私服警備員は一般客と同じような服装で行動し、気付かれないよう監視する「見えない抑止力」を持つのが特徴です。
制服警備員が犯罪を未然に防ぐのに対し、私服警備員は油断した行動を見逃さず、確実に摘発へとつなげます。
警備員と警察官の権限の違いに注意
警備員は民間スタッフであり、国家権力を持つ警察官とは権限が異なります。
警備員に認められるのは現行犯に対する私人逮捕のみです。警察官のように職務質問や捜査、逮捕状の執行などはできません。
例えば私服警備員が万引き犯を発見した場合は、証拠を確保した上で責任者に引き渡した後、必要に応じて警察へ通報し、役割を引き継ぎます。
関連記事:警察と警備員の業務内容の違いを解説!違いを理解した上で依頼しよう
私服警備員に求められるスキルと資格
私服警備員に必要なのは、高い観察力・判断力・冷静な対応力です。不審行動を見抜き、必要に応じて迅速に取り押さえる体力や機敏さも求められます。
資格は必須ではありませんが、専門性を示す指標として次のものがあります。
- 警備員指導教育責任者:警備員の教育や管理を担える国家資格です。
- 私服保安員検定:私服警備の実務能力を評価する民間資格で、3級は基礎知識レベル、1級は豊富な経験を持つ上級者に位置付けられます。
資格取得者は、知識と実務スキルを兼ね備えた信頼性の高い人材です。警備会社を選ぶ際に、警備員としての資質と資格の有無も参考にすると良いでしょう。
私服警備員を導入する際の費用相場
私服警備員の費用は、スキルや資格、勤務時間、配置人数、さらに万引き監視やイベント警備など業務の難易度によって変動します。
料金の目安は次の通りです。
- スポット利用は1時間あたり約2,500円~3,000円、8時間で20,000円~
- 夜間は約3割増しで、8時間で15,000円~
- 長期契約では一日あたり1万円前後まで抑えられることもある
費用感を把握すれば予算計画が立てやすく、複数社から見積もりを取ることで適正価格と必要なサービスが見えてきます。警備料金の相場について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事:警備料金の相場を詳しく解説、費用を抑えるコツとは?
私服警備員が活躍する具体的な場面

私服警備員は様々な業種やシチュエーションで活躍し、防犯やリスク管理の観点からビジネスを守る上で効果的です。
ここでは、私服警備員が活躍する具体的な場面について紹介します。
- スーパーや小売店での万引き対策
- アパレル・専門店での内部不正調査
- イベント会場でのトラブル未然防止
スーパーや小売店での万引き対策
スーパーやドラッグストア、書店など不特定多数が出入りする小売店では、私服警備員は万引き防止の切り札です。巡回しながら不審な動きを見逃さず、現行犯を捕まえます。
商品をバッグに入れようとする動作や周囲を過度に気にする仕草を敏感に察知し、バックヤードの監視スタッフと連携して証拠を押さえるのが役割です。私服警備員を導入することで、被害額の削減や店舗の利益保護につながります。
アパレル・専門店での内部不正調査
洋服店やブランドショップでは、従業員による商品の持ち出しやレジ不正といった内部不正が起こることがあります。内部不正の抑止や発見にも私服警備員が効果的です。
派遣された私服警備員が店員を装って売り場に立ち、日常業務に紛れて監視するほか、抜き打ち調査で不自然な動きを確認します。内部犯行の早期発見と再発防止につながり、企業の信頼性維持や損失削減に効果を発揮します。
イベント会場でのトラブル未然防止
コンサートや展示会、地域のお祭りなどのイベント会場でも、私服警備員は活躍します。来場者に紛れて行動し、不審者や不審物、スリや迷惑行為を水際で防ぐのが役目です。
例えばコンサート会場では、観客席を巡回して盗撮や危険物の持ち込みなどを早期に発見します。問題が発生した際には、制服警備員や主催者と連携し、被害を抑えます。導入によりイベントの安全性と来場者の安心感を高め、運営の信頼性向上にもつながります。
私服警備員を導入するメリット
ここでは、私服警備員を導入するメリットを紹介します。
- 犯人を油断させて確実に摘発できる
- 店舗の雰囲気を損ねずに防犯できる
- 内部犯行の抑止と証拠収集につながる
- 現場の状況に応じて柔軟に対応できる
犯人を油断させて確実に摘発できる
私服警備員は存在を悟られにくいため、犯行が実際に行われた瞬間を押さえやすいのが特徴です。万引きや内部不正の現行犯を確保すれば証拠が明確になり、再発防止や厳正な対応につながります。
私服警備を配置することで単なる「防犯」だけでなく、経営に直結する損失削減を実現できます。
店舗の雰囲気を損ねずに防犯できる
買い物客の目には警備員が目立たないため、安心感を保ちつつ落ち着いた雰囲気を演出できます。例えば、百貨店など「接客の空気感」を重視する店舗では、物々しい警備を避けつつ防犯効果を高められるのがメリットです。
店舗のブランドイメージを損なわずに安全性を確保できるため、顧客満足度の向上やブランド価値の強化につながります。
内部犯行の抑止と証拠収集につながる
従業員に「誰が監視しているのか」が分からない環境は、不正行為を思いとどまらせる効果があります。
また、私服警備員は在庫の急減やレジ処理の不自然さなどの典型的な不正のサインを熟知しているため、万一の場合でも証拠収集がスムーズです。企業のコンプライアンス強化や不正リスクの最小化に効果があります。
現場の状況に応じて柔軟に対応できる
私服警備員は一般客のように自然に振る舞えるため、場の状況に溶け込みながら臨機応変に行動できます。不審者への自然な声かけや尾行、場合によっては密かに制服警備員や店側へ連携するなど、状況に合わせたきめ細かな行動が可能です。
来店客に不安を与えることなくスムーズな店舗運営を支える点は、長期的な顧客からの信頼維持にも直結します。
私服警備員を導入するデメリット

ここでは、私服警備員を導入するデメリットを紹介します。
- 即時抑止力は低く未然防止には限界がある
- トラブルや緊急時の連携が遅れやすい
- 高いスキルと人件費が導入のハードルになる
即時抑止力は低く未然防止には限界がある
私服警備員は制服を着ていないため、制服警備員のように「姿を見せるだけで犯罪を思いとどまらせる効果」は限定的です。
ただし、現場での証拠確保や現行犯摘発につながりやすい特長があり、抑止よりも実効性を重視する場合に有効です。目立たずに容疑者の行動を継続して観察できるため、計画的な不正や常習犯への対応に優れた効果を発揮します。
トラブルや緊急時の連携が遅れやすい
私服警備員は周囲から警備員だと認識されにくいため、トラブルや緊急時にお客様や従業員から声をかけられず、対応が遅れやすいです。
そのため、多くの店舗では制服警備員と組み合わせ、即時対応力と目立たずに監視できる力の両面を補完する形で運用しています。併用により、抑止効果と早期発見・迅速対応の双方を実現でき、現場の安全性を一層高められるでしょう。
高いスキルと人件費が導入のハードルになる
私服警備員は、一般客に溶け込みながら不審者を見抜く高度な専門スキルを必要とする職種です。そのため、教育や訓練コストが高く、人件費も通常の警備員より上がりやすい側面があります。
ただし、配置すれば費用に見合う高い防犯効果が期待できます。現場で蓄積される不審行動の知見は、将来的な教育・マニュアル作成にも活かせるため、組織全体の防犯力を強化できるでしょう。
まとめ
私服警備員は、見えない抑止力で不正やトラブルを防ぐ警備のプロフェッショナルです。違和感を見抜く観察眼と的確な現場判断、証拠を固める手順に長けており、適切な摘発につなげます。
高度な専門性が求められるため、導入時には現場の状況や想定されるトラブルの傾向に合った、信頼できる業者を選定することが大切です。
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