コラム
雑踏警備の役割とは?依頼するメリットや警備会社選びのポイントを紹介

「雑踏警備とは何か知りたい」「イベント開催時の警備会社選びのポイントがわからない」などと悩んでいませんか?
雑踏警備とは、不特定多数の人が集まる場所での安全確保を目的とした専門的な警備業務です。適切な警備会社を選べば、事故防止と円滑なイベント運営が実現できます。
本記事では、雑踏警備の基本知識から、雑踏警備が必要なイベント、依頼するメリットについて解説します。依頼時の費用相場や信頼できる警備会社選びのコツがわかるため、ぜひ参考にしてみてください。
目次
雑踏警備とは?
雑踏警備とは、大規模イベントや祭礼において、来場者の安全を確保し、混乱を防ぐ専門的な警備業務です。ここでは、基本的な役割と誘導との違いについて解説します。
基本的な役割と重要性
雑踏警備の基本的な役割は、イベント参加者の生命と安全を守り、円滑な人の流れを作ることです。警備業法における2号警備業務に分類され、交通誘導警備と並んで雑踏警備業務として位置づけられています。
2号警備業務として法的に定められた雑踏警備は、単なる人員配置ではなく専門的な知識と技術が求められる業務です。群集の動きを常に監視し、密集状態や危険な兆候を早期に発見し、対処する重要な役割を担っています。
雑踏警備と誘導の違い
雑踏警備は主にイベント来場者を対象とし、興奮状態や群集心理の影響を受けた人々への対応が中心となります。交通誘導警備は、工事現場や道路工事において、車両と歩行者の安全な通行を確保する業務です。
一方、雑踏警備はイベント会場内外での人の密集を防ぎ、パニック状態を未然に防止する専門性が要求されます。具体的な違いについては、以下の記事を参考にしてみてください。
関連記事:雑踏警備と交通誘導の違いとは|業務上の注意点や必要な資格
法的配置基準とガイドライン
雑踏警備における法的配置基準は、令和元年国家公安委員会規則第4号により改正されました。雑踏警備業務を行う場所ごとに、1級または2級検定合格警備員を1人以上配置することが義務付けられています。
配置基準では、警備場所を2以上の区域に区分する場合、各区域に検定合格警備員を1人以上配置するとともに、そのうち1人以上は1級検定合格警備員でなければなりません。大規模イベントでは事前に雑踏警備計画書を作成し、警察署への届出が必要です。
警備計画書には、警備員の配置や来場者の誘導ルートなどを明記し、警察や自治体との連携を図ればスムーズな運営が可能となります。
雑踏警備が必要となるイベント・場面

雑踏警備が必要となるイベントは、一般的に1,000人以上の来場者が見込まれる大規模な集客イベントです。花火大会や音楽コンサート、スポーツ観戦などが代表的な対象となります。
屋外イベントでは天候の変化による急な避難や、会場の構造による人の滞留が発生しやすくなります。屋内イベントでは出入口の制限や、停電などの緊急事態での避難誘導が必要です。
過去の事故事例
2001年7月21日の明石市民夏まつり花火大会では、歩道橋上での群集の滞留と逆流により、11名の死者と247名の負傷者が発生しました。事故の原因は人流管理の不備と、群集心理による危険な行動の予測不足でした。
事故現場となった朝霧歩道橋には警備員が全く配置されておらず、混雑のピーク時間帯への対応が完全に欠如していました。過去の事故を教訓として2005年に警備業法が改正され、雑踏警備業務検定が新設されるなど、法的整備が進められました。
雑踏警備を依頼するメリット
雑踏警備を専門業者に依頼するメリットは、以下の通りです。
- 事故や事件の防止
- 法的配置基準の遵守
- 現場でのスムーズな人や車両の誘導が可能
- 緊急時の適切な対応
- 地域住民とのトラブル防止
詳しく解説します。
事故や事件の防止
雑踏警備の専門業者は、群集心理の特性を理解し、事故の前兆を早期に発見できる技術を持っています。危険な人の流れの察知やパニック状態の予防など、素人では判断が困難な状況に対処できます。
将棋倒し事故や圧死事故は、群集の密度が危険レベルに達する前に適切な誘導を行うことで防止可能です。
法的配置基準の遵守
警備業法で定められた検定合格者の配置義務を確実に満たすことで、法的リスクを回避可能です。配置基準違反は行政処分の対象となり、イベント主催者の信頼を損なうリスクがあります。
法的要件を満たすだけでなく、専門知識に基づいた警備計画の立案と実施により、より高い安全性の確保につながります。
現場でのスムーズな人や車両の誘導が可能
豊富な経験を持つ専門業者は、会場の特性とイベントの性質に応じた最適な誘導方法を提供できます。人の流れを予測した上での最適な動線設計により、混乱を最小限に抑えます。
車両誘導では、来場者の安全を確保しながら、スムーズな交通流を維持する技術が要求されます。専門業者は会場周辺の道路状況を事前に調査し、最適な誘導計画を立案して実施します。
緊急時の適切な対応
火災や地震、急病人の発生などの緊急事態では、迅速かつ冷静な対応が求められます。専門的な訓練を受けた警備員は、パニック状態の群集を適切に誘導し、被害の拡大を防ぐことが可能です。
専門業者は警察や消防、医療機関との連携体制を事前に構築し、緊急事態発生時にも迅速な情報共有と対応を行います。
地域住民とのトラブル防止
大規模イベントでは、騒音や交通渋滞により地域住民との間でトラブルが発生する可能性があります。適切な警備計画により、住民の生活への影響を最小限に抑え、良好な関係を維持することが可能です。
事前の住民説明会への参加や苦情への適切な対応により、地域との信頼関係を構築し、継続的なイベント開催を実現します。
雑踏警備の費用相場
雑踏警備の費用は、イベント規模、開催時間、必要な警備員数により大きく変動します。具体的な相場は以下の通りです。
項目 | 費用相場 |
---|---|
一般警備員 | 12,000円~18,000円 |
検定合格者(追加料金) | 2,000円~5,000円 |
現地調査費用 | 30,000円~100,000円 |
警備計画作成費用 | 50,000円~200,000円 |
機材レンタル費用 | 10,000円~50,000円/日 |
夜間や休日の開催では、割増料金が適用されるケースが多く、総費用は通常の1.5倍から2倍程度に増加します。費用を抑えるためには、複数の業者から見積もりを取得し、サービス内容と価格のバランスを慎重に検討することが重要です。
雑踏警備を依頼する際の警備会社選びのコツ
信頼できる雑踏警備会社を選ぶためには、以下のポイントを抑えることが大切です。
- 類似イベントでの実績と経験を確認する
- 雑踏警備業務検定の有資格者がいるか確認する
- 緊急時対応能力と柔軟性を評価する
詳しく解説します。
類似イベントでの実績と経験を確認する
同規模・同種類のイベントでの警備実績は、業者の能力を判断する重要な指標です。花火大会の警備経験がある業者は、群集の動きパターンや危険な箇所を事前に予測し、適切な対策を実施します。
過去に事故やトラブルが発生した場合の対応状況と、再発防止策の実施状況を確認すれば、業者の信頼性を評価できます。
雑踏警備業務検定の有資格者がいるか確認する
1級または2級検定合格者の在籍状況と、イベント当日の配置計画を事前に確認することが重要です。有資格者の人数だけでなく、実際の現場経験年数と担当した業務内容を詳細に確認すれば、実力を評価できます。
専門知識の習得と技能の向上に積極的に取り組んでいる業者は、高品質なサービスを提供できる可能性が高いと判断できるでしょう。
緊急時対応能力と柔軟性を評価する
予想を超える来場者数や悪天候などの突発的な状況に対する対応能力は、業者選択の重要な要素です。追加人員の確保体制や機材の準備状況、関係機関との連携体制などを事前に確認することが必要です。
過去の緊急事態での対応実績とスタッフの訓練状況を確認すれば、実際の対応能力を評価できます。
まとめ
雑踏警備は、大規模イベントにおける参加者の安全確保と事故防止に不可欠です。群集心理の理解と適切な対応により、重大事故を未然に防ぎ、円滑なイベント運営を実現可能です。
専門業者への依頼により、法的配置基準の遵守、効率的な人流管理、緊急時の迅速な対応が可能となります。雑踏警備の専門業者をお探しの場合は、目的に合ったサービスを提供する警備会社を選ぶことが大切です。
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