コラム
列車見張員とは?資格の取り方や仕事内容を解説
線路上や駅舎などで工事をする際、作業員の安全を守るために配置されるのが列車見張員です。列車との事故が起こらないよう、作業員を確実に退避させる必要があります。
この記事では、列車見張員の仕事内容や資格取得方法、受験の条件などについて解説しています。
目次
列車見張員の仕事内容
列車見張員とは、線路上や駅舎などの工事の際、線路脇に立って列車がきた時に合図をする仕事です。
列車見張員が行う具体的な仕事内容を、以下より解説します。
列車が来たら作業員を退避させる
列車見張員は、列車がくる数分前に、トランシーバーやスピーカーを使って作業員に退避の合図を送ります。
作業員の退避が完了したら、黄色い旗をあげて列車の運転手に知らせ、運転手は列車見張員の合図を確認し、合図を返します。列車が通りすぎたら、安全確認をして作業員に作業再開を伝えたら完了です。
退避できない場合は発煙筒を振る
列車が来ているにもかかわらずなんらかの事情で退避できない場合は、列車防護用具(赤旗、発煙筒など)を使って列車の運転手に合図し、列車を停止させます。
列車見張員の仕事は、線路上という危険のともなう場所で作業員の安全を守る、重大な責任と緊張感のある仕事です。列車見張り員の仕事は全て工事管理者の許可が必要で、独断で行動したり移動したりすることはできません。
列車見張員に必要な資格内容と取得後
列車見張員の資格を取得するには、列車見張の警備業務を行っている警備会社に所属していなければ取得ができません。また、視力や聴覚に問題がないことを証明する必要があります。
列車見張員に必要な資格とその内容や取得後について見ていきましょう。
受験資格・取得場所・講習内容
列車見張員の資格を取得するためには、JRや関連工事会社、列車見張の警備を行っている警備会社に所属していることが条件です。また、健康診断書を提出し、医学適性検査の基準を満たしていることを証明する必要があります。
視力や聴力、色覚については、以下の判定基準を満たしていることが条件です。
- 視力:各眼 0.7 以上又は 1 眼 1.0 以上他眼 0.5 以上のもの、若しくは各眼が矯正眼鏡により 0.7 以上に矯正できるもの
- 色覚:正常なもの
- 聴力:両耳とも、1,000HZ 又は低音域平均聴力レベルが 40dB 以内、4,000HZ 又は高音域平均聴力レベルが 65dB 以内のもの
- その他:正常なもの(所見のないもの)
列車見張員の資格は、日本鉄道施設協会、または鉄道電業安全協会が主催している講習を受け、検査と試験に合格することで取得できます。
講習と検査の内容は、以下の通りです。
- 講義
- 実技訓練
- 筆記試験
- 実技検査
- 運的適性検査(クレペリン検査)
クレペリン検査とは、制限時間内に一桁の足し算を解き続ける検査で、15分の検査を2回、合計30分行う検査です。クレペリン検査によって行動の特徴や性格、能力の傾向を測定します。クレペリン検査に落ちてしまうと、列車見張員の資格を取得することはできません。
期限・更新
列車見張員の資格の有効期限は1年です。1年ごとに講習を受け、講義と筆記試験、実技試験を受け、クレペリン検査は3年ごとに受ける必要があります。
更新に必要な書類は、以下の3つです。
- 申込書
- 認定証の表面のコピー
- 受講料払込受領証のコピー
参照:保安講習会
列車見張員の資格でできること
列車見張り員の資格を取得すると、以下の業務を行えるようになります。
- 重機誘導員
- 旅客誘導員
- 踏切監視員
重機誘導員は、線路内の工事で使用するクレーン車やバックホーといった重機を誘導する仕事です。重機1台につき、1人の誘導員が必要となります。
旅客誘導員は、ホームや駅舎内での工事作業の際にホーム内が狭くなるので、乗客の安全を守るため誘導する仕事です。緊急時に列車を停止させられるのは、旅客誘導員のみとなります。
踏切監視員は、踏切の信号や通信ケーブルの工事などで踏切の機能が停止している場合、踏切の代わりに人や車を誘導する仕事です。
まとめ
列車見張員は、線路上や駅舎の工事作業員の安全を守る、非常に責任感と緊張感のともなう仕事です。列車の到着に際して確実に作業員を退避させる必要があり、決して気を抜くことはできません。
列車見張員の資格は、JRや列車見張警備を行っている警備会社に所属していることが受験の条件となります。また、視力や聴力などに問題がないことも条件です。資格取得後は1年ごとに講習を受けて更新し、3年ごとにクレペリン検査を受ける必要があります。
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